以前から気になっていたが、思いきって牧師に電話してみたら呆気なく内覧がOKされた。

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国内でもかなり珍しい純和風教会建築。昭和12年(1937)の竣工。同系列の日本聖公会奈良教会は重要文化財となっており、本件も間違いなく文化財級の建物ではあるが、制約が増えるため検討していないという。
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2階が礼拝堂として使用されている。正面のキリスト像は鎌倉彫り。小屋組はシザーズトラス。純和風に見せて中の組み方はバキバキの洋風建築なのは近代建築にはありがち。

京都という土地で教会を建てるとき、排他的ではなく多様性でなくてはならないという信念があり色々とチャンポンな形式になったらしい。

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南面のみ黄色の磨りガラスとなっている。長年の使用で破損していったそうで、北面は無色のものとなっている。これのおかげで堂内は温かみのある空間になっている。

椅子も竣工当初のものだが、3年ほど前に板を改修したらしい。

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改めて外観。瓦の軒模様が十字架、鬼瓦はノアの箱船からの引用で鳩とオリーブがあしらわれている。


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こちらは昭和11年(1936)竣工の牧師館。牧師の自宅として現在も使用されている。牧師は付属幼稚園の園長も兼ねているので秒で出勤できると自慢していた。

牧師の話によると設計者が奈良の教会と同じらしい。「京都市の近代化遺産」によると桃山教会は野田音蔵、一方の奈良教会は大木吉太郎である。大工なのは間違いないと思うがどうなんだろう。
他にも、元々御香宮神社の土地だったという説があるが神社側が否定していることや、神社と間違えて参拝する人が稀にいることなど貴重な話を沢山伺えた。

文化財指定、登録は検討していないが来年は屋根瓦を葺き替える予定であり、改造しながらも大切に扱っていく姿勢がよく分かった。突然の単騎突撃でも温かく出迎えて下さった牧師には感謝しかない。

所在地:京都市伏見区御香宮門前町184
竣 工:昭和12年(1937)
構 造:木造2階建て
設計者:野田音蔵
撮 影:2020年2月22日